約 730,108 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2425.html
第2部 「ミッドナイトブルー」 第1話 「night-1」 ミッドナイトブルー (Midnight Blue) は色のひとつ。直訳すると「真夜中の青」となる。 西暦2041年 5月20日 23:55 花博記念公園鶴見緑地(はなはくきねんこうえんつるみりょくち)は大阪府大阪市鶴見区と大阪府守口市の市境にある。そこには公園施設の一部を利用した武装神姫センターがあった。 真夜中ということもあり、利用している神姫やオーナーの数もまばらだ。 『大阪府 大阪市 鶴見緑地センター店』 真っ暗な闇の中を、数隻の巨大な灰色の塊が轟音を奏でながら進む。 ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン・・・ チーム名 「灰色艦隊」 □巡洋戦艦型MMS 「アリスン」 Sランク □巡洋戦艦型MMS 「クローディ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ノザッパ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ナヴァリン」 Sランク □巡洋戦艦型MMS 「キャリスタ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「オーレリア」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「エルヴィラ」 Aランク □巡洋戦艦型MMS 「ジェシカ」 Aランク □重巡洋戦艦型MMS 「マキシマ」 SSランク「ワルキューレ」 □重巡洋戦艦型MMS 「ヴィクトリア」 SSランク「砲女神」 オーナー名「野木 恵」♀ 24歳 職業 ネオニート マキシマ「嫌な夜だ・・・新月で真っ暗闇だ・・・星明りさえない・・・」 ヴィクトリア「こんな夜には、化け物が出るらしいな・・・マキシマ」 マキシマ「化け物か」 野木「化け物ですって?残念ながら私はそういうものは信じない主義でね。信じるのは金と力さ」 『灰色艦隊』 快速を誇る巡洋戦艦型神姫、10隻で構成された野木の誇るMMS艦隊である。ただでさえ高価な戦艦型神姫を10隻も所有している野木は変わったオーナーだ。 野木は親の遺産を元手に株のトレードで生計を立てている引きこもりのニートであり、神姫関連の企業について野木は詳しく、そういった点で投機をして荒稼ぎをしている。 そしてその儲かったお金で同型の戦艦型神姫を大量に保有して、自分の用心棒としているのだ。ただ、用心棒に艦隊を保有しているのは少々やりすぎな点もしないが・・・ ヴィクトリア「・・・マスター、こんな話を知っていますか?こんな真夜中の深い青の夜には、化け物が出て一瞬にして命を奪い取るという話を・・・」 野木「くどい!ヴィクトリア!!そんな非常識なものがいてたまるか!それにそんな化け物が出たら、お前たちの出番だろ!」 オーレリア「はっははは!たしかにその通りです。マイマスター・・・我々、灰色艦隊はそのようなよく正体も分からないような化け物にやられたりしませぬ」 ジェシカ「そうですね」 キャリスタ「んだんだ」 ノザッパ「ヴィクトリアさんの話は有名な都市伝説のアレですね」 野木「都市伝説?なんだノザッパ」 ノザッパは得意げなドヤ顔で話す。 ノザッパ「真夜中の日付の変わる午前0時ぴったりにいきなり現れるんだ真っ黒な神姫のことさマスター」 クローディ「その都市伝説は有名だよー」 ノザッパは続ける。 ノザッパ「夜のステージにしか現れない真っ黒な武装神姫で、その姿を見た神姫は一瞬にして命を奪いとられるんだってさー」 オーレリア「・・・・・」 ジェシカ「おい」 ノザッパ「な、なんだよ」 マキシマ「今、23:59だぞ」 ノザッパ「・・・・・」 野木が腕時計を見る。カチ・・・カチ・・・と時を刻む音が静かに聞こえる。 野木「5・4・3・2・1・・・」 カチリ 午前0時を指す時計。 野木「午前0時だ」 ヴィクトリア「・・・周囲に敵影なし」 ジェシカ「おいおい、わざわざ警戒する必要もないでしょ」 野木「異常無しか・・・」 ノザッパ「だから都市伝説ですってー」 そのとき、チカチカと上空から何かが光った。 マキシマ「・・・?なんだ今の光は・・・」 ガンッバキン!! アリスンの艦橋ブロックが青白い光に貫かれると同時に機関部分が真っ赤な炎を上げて吹き飛んだ。 □巡洋戦艦型MMS 「アリスン」 Sランク 撃破 ズズウズウウウウウンン・・・・ 野木「な・・・」 そして次の瞬間、大型の対艦ミサイルが先方を進んでいた4隻の巡洋戦艦型神姫に命中し次々と火達磨になって爆発した。 マキシマ「!?け、警報!!ミサイル多数接近っ!!!」 野木「な・・・なんだと!!」 キュン!! ドガン!!バギャン!!ズズズウン!!バゴオオオムウ!! □巡洋戦艦型MMS 「ナヴァリン」 Sランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「キャリスタ」 Aランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「オーレリア」 Aランク 撃破 □巡洋戦艦型MMS 「エルヴィラ」 Aランク 撃破 ノザッパ「う、うわああああ!!!ナヴァリンが・・・」 一瞬にして艦隊の半数が轟沈され、真っ暗な闇の中で花が咲いたように紅蓮の火球が燃え上がる。 クローディ「キャリスタ!轟沈!!くそオーレリアもエルヴィラもやられた!!」 ジェシカ「せ、先方のアリスン轟沈!!うわあああ!!」 野木「落ち着けェ!!状況を確認しろ!!マキシマ!!」 マキシマ「レーダー、センサー共には、反応なし・・・ど、どうなってるんだ!!」 ノザッパ「ば、バカな・・・せ、戦艦型神姫が一瞬にして撃沈されるなんて」 クローディ「敵は、ど、どこだ!!見えないぞ!」 ヴィクトリア「・・・・・右舷に反応有り、チラッとだが、レーダーに小さい影が映った」 野木「照明弾っ!!撃てェ!!」 ヴィクトリアは照明弾を打ち上げる。 キューーーーーーーーーン・・・・パアァーーーン!! 真っ暗な闇の中にギラリと光る赤い眼のようなモノが光った。 マキシマ「敵機捕捉!!こいつはステルスMMSだ!!レーダーに映りにくい!!」 ジェシカ「畜生ォーーーブチ落としてやる」 野木はマイクを掴んで叫ぶ。 野木「全艦、対空防御!!全砲門開け!!撃てェ!!」 ウーーーーウウーーーーーウーーーーウーーー 生き残った戦艦型神姫たちは、砲塔をゴリゴリと動かして正体不明の黒い神姫に狙いを定める。 正体不明の黒い神姫はぐんと速度を上げて雲海の中に隠れる。 マキシマ「雲の中に隠れたようです」 野木「ええい!!かまわん!!撃て撃てェ!!」 クローディ「主砲正射!!」 巡洋戦艦型神姫の艦隊が一斉に3連ヘヴィ・ターボレーザー砲を正射する。 ズンズズズン!!ビシューーン!!ビシュエエーーン!! 真っ暗な夜を青白い光の線が何百本と貫く。 ヴィクトリア「レーダーロスト、敵機を見失いました」 ジェシカ「どこに嫌がる!?」 ジェシカがサーチライトを使って雲の海を照らす。 野木「サーチライトなんか出すな!やられたいのか!」 ビシュエエーーーン!! 雲の海の中から強力なレーザービームがまっすぐ伸び、ジェシカに命中する。 ジェシカ「うわあああっああああああああ!!」 ズズウズウウウウウ・・・・・ンン ジェシカの巨大な船体が真っ赤な炎に包まれ高度を落とす。 ヴィクトリア「ジェシカ被弾!!ジェシカ被弾!!高度を上げろ!!墜落するぞ!!」 ジェシカ「ば、バカな・・・せ、戦艦型神姫を一撃で落とすなんてェ・・・あ、」 ジェシカの船内の弾薬庫に引火し、大爆発が起きる。 ズンズンズンズンンンン!! □巡洋戦艦型MMS 「ジェシカ」 Aランク ヴィクトリア「ジェシカ轟沈しました」 マキシマ「敵は我々と同じ威力の以上の大口径砲を搭載した重神姫のようです」 ノザッパ「うわあああ!!ジェシカ!!!」 野木「ぐっ・・・なんてことだ・・・あ、あっという間に艦隊の3分の1が轟沈とは・・・」 クローディ「レーダーに捕捉!!またちらりと影が映ったぞ!!」 野木「・・・・マキシマ!!艦首収束素粒子砲、砲撃用意!!」 マキシマ「は・・・目標は!?」 野木「下の雲海を主砲で吹き飛ばせ!!炙り出してやる」 マキシマ「了解!」 キュウウイイイイイイイイイン・・・・ マキシマの主砲が光りだす。 ノザッパ「マスター!?なにを考えているんです!!そんなことをすればマキシマが狙われ・・・」 野木「構わん!!」 ノザッパ「まさか、マキシマを囮に・・・」 野木「・・・・言うな!!」 マキシマはこくりとうなずく。 マキシマ「囮とは上等じゃんばいですか!来るならくればいい!!返り討ちにしてくれましょうぞ!」 ヴィクトリア「敵機!捕捉!!正面距離1000!!」 ドフッ!!! 前方の雲海がばっと割れて真っ黒な正体不明の神姫が飛び出す。 野木「マキシマ!!撃て!!」 マキシマ「充填率、30パーセント」 野木「十分だ!艦首収束素粒子砲!!撃て!!」 マキシマ「艦首収束素粒子砲っ!!テっ!!」 バゴオオオオオーーーーウウウンン・・・ マキシマの前方の雲海がばっと吹き飛び、まっすぐ真っ黒な正体不明の神姫に届く。 真っ黒な神姫はくんと体を大きくひねり、加速しながら攻撃を回避すると同時に、青白い強力なレーザーを放った。 ビッシュウーーーーーエンン!!! クローディ「う、うわああああああああああ!!」 ゴバアアンン!!クローディの艦橋部分を抉るように吹き飛ばし黒い神姫は一瞬にして通り過ぎた。 □巡洋戦艦型MMS 「クローディ」 Aランク 撃破 マキシマ「な・・・なんてヤロウだ!!すれ違いざまに一隻落としやがった!!」 ノザッパ「ひえええ!!!」 ヴィクトリア「敵機!捕捉!!主砲斉射!!」 ズンズンズズズッン!! 黒い神姫は再び雲海の中にもぐり姿を消した。 ヴィクトリア「・・・・敵機、急速離脱・・・離れていきます」 野木「・・・・・そうか」 ノザッパ「はあはあはあ・・・な、なんだったんだ!?今のは・・・」 マキシマ「現在、時刻00:05・・・正体不明機に襲撃を受けてわずか5分で艦隊の3分の1を失いました」 野木「これは夢なのか・・・ノザッパの言っていた都市伝説はこれなのか!?」 ノザッパ「あ・・・ああああ・・・化け物だ!!化け物神姫だァ!!!」 ヴィクトリア「マスター・・・この画像を見てください」 ヴィクトリアはさきほど偶然、カメラで撮影した画像を野木に転送する。 野木「こ、こいつは!?」 ヴィクトリア「さきほどのアンノウンの画像です。こいつは夜間戦闘に特化した重夜戦・・・重夜間戦闘機型神姫です」 野木は画像を凝視する。 野木「重夜間戦闘機型神姫・・・」 画像には真っ黒な重武装の凶暴なフォルムの神姫の写真がぼんやりと写っていた。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>・第2話 「night-2」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2127.html
ウサギのナミダ ACT 1-14 ■ 雨の街は、いつもとその様相を一変させていた。 あれほどに鮮やかだった風景は、色を失い、輪郭さえもぼやけている。 すべて水に濡れ、色褪せて見えた。 まるで、かつてわたしがいた場所のように、灰色の世界。 雨に追われ、人々は足早に過ぎ去っていく。 足下の神姫になど注意を払う人はいなかった。 降りしきる雨は、痛いほどにわたしを叩き、瞳からこぼれる涙さえも、洗い流されてゆく。 これは、あの空の涙なのだろうか。 空にも心があって、悲しくて辛いことがあるのだろうか。 上空を垂れ込める雲に、心を灰色に塗りつぶされて、涙をこぼすのだろうか。 今のわたしと同じように。 わたしはもう、悲しいとか辛いとか、そういう感情を通り越して、ただ、ぼうっとしていた。 瞳から流れる涙だけが止まらない。 だから、きっと、悲しいのだろう。 悲しすぎるのだろう。 だけど、その涙さえ、雨に混じってしまい、わからなくなる。 わたしはもう、泣くことさえも許されてはいないのだと思った。 わたしは、あの後、PCのワープロソフトを起動して置き手紙を残すと、マスターの家を出た。 お風呂場の窓は換気のために開けてあることは知っていたので、出るのは容易だった。 ……こんなときばかり、トリックはうまく行く。 衝動的に出てきてしまったけれど、行く当てなんてなかった。 はじめは、お店に戻ろうかと思った。 でも、お店の場所をよく知らない。 マスターのところに来るまで、お店を一歩も出たことがないのだから、当然だった。 それに、もう帰る気になれなかった。 お店に帰れば、またお客さんに奉仕する日々に戻るのだ。 それ以外の世界を知ってしまったわたしは、お店が神姫にとって地獄のような場所だと知ってしまった。 もう、戻りたくはなかった。戻れなかった。 あの、わたしを連れだしたお客さんのところはどうだろう。 ……結局は同じことだ。いや、お店にいるときよりもっとひどい仕打ちを受けるかも知れない。 そこには行きたくない。 ……わたしは、なんとわがままなのだろう。 マスターを自らの手で汚しておきながら、もう自分が汚れるのは嫌なのだ。 こんな神姫が一緒では、マスターが不幸になるのも当然だった。 いや、元から誰かの武装神姫になる資格なんてなかったんだ。 なんという身の程知らず。 取り返しがつかなくなって、やっと思い知るなんて。 もうこれ以上、マスターを汚すわけにはいかなかった。 だから、わたしは姿を消すことにした。 そう、このまま消えてしまおう。 この世から。 ふと見上げると、駅前の歩道橋が目に入る。 わたしはのろのろと、その歩道橋の上へと向かう。 □ 俺は走っていた。 雨の中をひたすらに、走っていた。 足下に注意を向けながら。 ティアを探す。 ティアがうちを出て行く先の心当たりなど、そう多くはない。 まして神姫の身であれば、そう遠くへ行ってはいないはずだ。 俺とティアがゲームセンターに次いで多く行った場所。 あの大きな公園だ。 俺は公園へと向かっていた。 この雨だというのに、傘も差していないから、全身ずぶぬれだった。 足が地面を着くたびに、がぽがぽと水が貯まった靴が音を立てる。 それでも、そんなことはかまっていられなかった。 雨の公園には人っ子一人いなかった。 遊歩道を取り巻く木々の緑も、今日ばかりは色褪せて見える。 動くものとてない静寂の中、静かな雨音だけが広大な空間を支配していた。 「……ティア!」 その静謐を破り、俺は何度も呼びかける。 遊歩道を何度もまわる。 しかし、ティアの姿を見つけることは出来ない。 ベンチの前で、俺は立ち止まった。 散歩に来て、ティアを走らせているときに、俺が座っている、いつものベンチ。 ここにもティアの姿はない。 晴れた日の情景が心に浮かんでくる。 ティアは朝の澄んだ空気の中を駆け抜ける。 ぐるりと遊歩道を周回してくると、トリックを決めて、ベンチの上に着地する。 そして、俺を見上げる。 嬉しそうに、少し恥ずかしそうに、笑うのだ。 「……なんでだっ!!」 俺は地面に膝を着き、ベンチの上にうなだれた。 なんでだ。 なんで「さようなら」なんだ。 なんで俺の前からいなくなるんだ。 なんで、なんで、なんでなんでなんでなんで!!! 「……ティア……」 神姫の名を呟く。 迷惑だなんて。 お前が側にいてくれれば、そんなものは気にするほどのことでもないのに。 お前以外に、俺が自分のパートナーにしたい神姫なんていないのに。 他のどんな神姫も、お前の代わりになどならないんだ。 やっと出会えた俺の神姫なんだ。 だから。 俺にどんな迷惑かけてもいいから。 側にいてくれ、ティア……。 ◆ 久住菜々子はゲームセンターの壁によりかかり、見るともなしに、バトルロンドの観戦をしていた。 腕を組み、やぶ睨みで、大型ディスプレイに鋭い視線を投げつけている。 いつものような親しみやすさとはかけ離れた緊張感が全身から漲っている。 宣戦布告から一日。 菜々子を待っていたのは「無視」という仕打ちだった。 エトランゼはティアを擁護すると知り、神姫プレイヤーは皆敵に回った。 しかし、面と向かって文句は言ってこない。いや、言えないのだろう。 なにしろ三強を三分かからずに倒してのけたのだから。 実力でかなわない相手に対し、示した態度は、徹底した無視だった。 まるでそこに存在しないかのように。 挨拶しても、話しかけても、振り向きさえしない。 常連の誰に話しかけても、そんな態度だった。 もちろん対戦は誰も乱入してこないし、こっちが乱入したら、一瞬でサレンダーされた。 すでに常連の間では、エトランゼに対してそういう態度をとることで話が通っているのかも知れない。 これで菜々子がゲーセンを出ていけばよかったのだろうが、彼女はかえって意地になった。 壁に張り付き、無言のプレッシャーを与え続けている。 これでは気になって仕方がない。 しかし、今日は週末で、ランキングバトルの開催日だ。常連達は帰るわけにも行かず、菜々子からの妙なプレッシャーに耐え続けなければならなかった。 「菜々子ちゃん……」 「ああ、大城くん……」 声をかけてくるのは大城だけだった。 大城は心配そうだ。 見かけによらず、人が良いのだろう。 「いいの? ランバト、始まるわよ」 「うん、まあ……でもよ、菜々子ちゃんも……ここにいないほうがいいんじゃねぇか? だったらさ……」 「だめ。遠野くんとティアを待っているから。この店からは動けない」 「でもよぅ……」 無視されている菜々子を気遣って声をかけてきてくれていることはわかっているし、ありがたい。 逆に言えば、大城以外の誰も、菜々子の味方はいないのだ。 だが、彼とてずっと菜々子と話していれば立場が悪くなる。 大城と虎実はランバトに参戦している。 常連達との関係を悪くしたくはないだろう。 「……ひとりくらいは」 「え?」 「他に一人くらいは、わたしに賛成してくれる人、いると思ったんだけどな……」 自嘲気味に笑う。 つい本音が出てしまった。 本当は、菜々子は心細かった。 大見栄切ってみたものの、味方をするべき本人達はいまや嘲笑の的であり、ゲームセンターにもやってこない。 孤立無援の戦いは始まったばかりだったが、こうあからさまに無視されると、菜々子の心の方が折れそうだった。 自分達こそ正しいはずなのに、どうしてこんなにもつらいのだろう。 菜々子は下唇を噛んだ。 一瞬、沈黙が降りた。 ゲームセンターの喧噪が耳を震わせる。 と、近くで、電子音が鳴った。 携帯電話だ。 目の前の大城が、ポケットから携帯電話を取り出す。 シンプルな機種だが、ストラップにアクセサリーがジャラジャラとついている。 「遠野からだ……もしもし、大城だけど」 菜々子は一瞬、息を飲んだ。 「……おい、大丈夫か? あ、いや、声が……ああ、いいぜ。気にすんな」 今度は大城が息を飲んだ。 「……ティアがいなくなった、だ!?」 その場にいた二人と、二人の神姫が同時に息を飲んだ。 「……で、心当たりは……ああ、うん、駅? そうか……ああ、わかった。わかったから、こっちはまかせろ。 気にすんな。お前はそっちの心当たりを探せよ。 わかった、連絡する。じゃあな」 携帯電話を切ると、厳しい顔で菜々子を見た。 「ティアがいなくなった。遠野が必死で探してる」 「そんな……」 「あいつ、聞いたこともないような……泣きそうな声で……くそっ!!」 大城は店のスタッフのところに行くと、手短にランバトの参加キャンセルを伝えて、そのまま店の出口へと急ぐ。 「待って、大城くん! わたしも行く!」 菜々子は反射的に答えていた。 が、大城は振り向いて、 「菜々子ちゃんは待っていてくれ。 もしティアがここに来て、井山と会ったりしたら、それこそ大変なことになる。だから……」 菜々子を押し止めた。 そう言われたら、菜々子は頷くしかなかった。 大城は雨の中、傘を差して駆け出していく。 菜々子は身体を抱くように腕組みをすると、再びゲームセンターの壁にもたれかかった。 「ティア……なにやってんの……」 いらだった口調で、ミスティが呟いた。 神姫がマスターの元を飛び出してどうするというのだ。 この雨の中、たった一人でどこへ行くというのだ。 神姫をなくしたマスターがどれほど心配するものなのか、わかっているのかしら、ティアは! ミスティが親指の爪を噛み、いらだちを増している。 菜々子はさっきからうつむいたままだった。 だが。 ……震えてる? 体重を預けている菜々子の肩が細かく震えている。 そして、かすかな声。 「だめよ、ティア……いなくなるなんて……」 「ナナコ……?」 菜々子は思い出す。 自らの神姫をロストした日のことを。 身も心も引き裂かれたあの日。 菜々子の瞳からは涙さえ枯れ果てた、あの時。 「ぜったいに、だめよ……」 あの時の気持ちは「心が引き裂かれた」なんて生やさしいものじゃない。 恐怖だ。 自分のせいで、神姫を帰らぬものにしてしまった、底知れない絶望だ。 あんな思いを、遠野にさせてはだめだ。 あんな思いを、自分に近しい人にしてほしくはない。 だから菜々子は痛切に願う。 ティア、無事でいて、戻ってきて、と。 菜々子が深い想いに沈んでいるそのとき、彼女の前に影が差した。 小柄な、四つの影。 「あなたたち……?」 ミスティの声に、菜々子はゆっくりと顔を上げた。 目に入ったのは、四人の女の子の姿だった。 菜々子より少し年下だろうか。思い詰めたような表情で、菜々子を見つめている。 菜々子の視線を感じてか、四人とも緊張に肩をすくめた。 「……なに?」 ごめんね、優しい声をかけてあげられなくて。 視線も不躾で、疑わしくて。 あなたたちも……ひどいことを言いに来たの? よく見れば、彼女たちは見かけたことがあった。 いつも四人でバトルロンドをプレイしている女の子のグループだ。 このゲーセンの常連で、和気藹々と仲間内でプレイしているのをよく見かけている。 いずれもライトアーマーの武装神姫のマスターだった。今も、自分の肩にそれぞれの神姫を座らせている。 一人の少女が、思い切ったように菜々子を見つめた。 セミロングの髪に、眼鏡をかけた、まじめそうな女の子。彼女がリーダー格なのだろう。 眼鏡の少女は必死の表情で、口を開いた。 「わたしたち、エトランゼさんの代わりに、ティアを捜してきますっ!」 「え……?」 「わたしたち、エトランゼさんに賛成です。味方です!」 菜々子は思わず言葉を失い、少女達を見た。 少女達は口々に話しはじめる。 「わたしたち、いままでのこと、全部見てました」 「雑誌のことも、ティアのマスターが怒ってるところも、昨日のエトランゼさんのバトルも……」 「それで、みんなで話し合ったんです。わたしたち、エトランゼさんのファンで、憧れてるんです」 「だから、一人で頑張ってるエトランゼさんを応援しようって……」 「ちょ、ちょっと待って?」 菜々子は驚いて、話を遮った。 「わ、わたしのファンだからって、わたしの味方することはないのよ? だって、いまのわたしは……」 「ちがうんです、それだけじゃないんです」 今度はリーダーの眼鏡の少女が話を遮った。 「わたしたち、ティアのマスターに、親切にしてもらったことがあるんです」 「わたしたちは、この四人でばかりバトルしてて、他の人達とバトルあんまりしないんですけど」 「対戦台が空いていなくて困っているとき……ティアのマスターに譲ってもらったんです」 「一人プレイで対戦待ちしてたのに、途中で中断して、『ここどうぞ』って……」 「それも、一回だけじゃないんです。一人でプレイしてるときは、必ず譲ってくれて……」 「でも、わたしたちがお礼を言うと『きにしないで』って言ってくれて、まるで当たり前のことをしてるって感じなんです」 すると、少女達の肩にいた神姫の一人、ポモック・タイプが無邪気な声を上げた。 「ティア、笑ってくれたよ!」 すると、他の少女達の神姫も、顔を見合わせて頷いた。 「うん、笑ってたね」 「ティアも優しく笑ってくれました」 「なにも話さなかったけど、『いいよ』って言ってくれてるみたいだった」 菜々子は何も言えず、四人の少女を見つめていた。 「それで……わたしたち、話し合ったんです。ひどいことされてる神姫が、あんな風には笑えないんじゃないか……」 「ティアのマスターは、いつも紳士的な態度でした。彼こそが、武装紳士というのにふさわしいんじゃないですか?」 「だったら、雑誌見て笑ってる人達は? ティアのマスターをあんな風に怒らせる人達こそ、間違っているんじゃないの? って……」 「誰が本当に正しいのか……わたしたちはわかってたはずなんですけど……言い出す勇気もなくて……」 「でも、憧れのエトランゼさんが、ティアにつくって言ってくれたから」 「わたしたち、バトルも強くないし、足手まといかも知れませんけど!」 「でも、わたしたちにできることくらい……ティアを代わりに捜しに行くことくらい、手伝わせてください!」 四人の少女は、菜々子に頭を下げた。 「お願いします!」 菜々子は、ゆっくりと一歩踏み出す。 そして、四人の少女をかき抱いた。 「エ、エトランゼさん……?」 「……お願いするのは、わたしのほう」 足手まといだなんて。 今の菜々子には、一騎当千の仲間を得た気持ちだ。 心が痛いほど嬉しくて、泣きそうだった。 でも、泣いてはだめだ。 今は、泣くよりも先に、やらなくてはいけないことがある。 「ティアを、捜して。遠野くんを助けて」 四人は、一瞬腕に力を込め、抱き返してくれた。 「まかせてください!」 菜々子は、リーダーらしき眼鏡の少女と携帯番号を交換する。 名前を八重樫美緒、という。ウェルクストラ・タイプのオーナーだった。 見つけたら美緒を通して連絡をもらえるように言うと、四人は雨の街に飛び出していった。 ■ 高いところから見下ろす道路は、まるで車が流れる川のようだ、と思った。 人が乗れるほどの大きな金属の固まりが、何台も何台も流れては過ぎていく。 ここから落ちれば、きっと車にはじかれて、わたしの身体は粉々に砕け散ってしまうだろう。 でも、わたしは、歩道橋の柵の間から下を見下ろしたまま、動けずにいた。 自分から身を投げる意気地もないのだった。 もうどうしようもない。 何一つできない自分に嫌気が差す。 だけど、もうすぐバッテリーが切れる。 そうしたら、わたしは姿勢を保持できなくなり、ここから落下するだろう。 わたしの意識がなくなった直後に。 わたしはそれを待っている。 その間に、わたしは思いを巡らせた。 わたしがいなくなったら、マスターは新しい神姫をお迎えするだろうか。 きっと、するだろう。 今度は、わたしみたいな面倒くさくて出来の悪い汚れた神姫ではなく、オフィシャルの新品の純粋な武装神姫を。 その子は間違いなく幸せになれる。 だって、マスターの祝福を一心に受け、成長することが出来るのだから。 マスターだって、きっと幸せになれる。 誰の目もかまうことなく、自分の神姫を連れ、堂々とバトルに挑める。 公式戦にだって参戦できる。 きっといい成績が残せるだろう。 ゲームセンターの人達にも認められ、きっと久住さんや大城さんとも、もっと仲良くやっていけるだろう。 ミスティさんは、新しい神姫を笑顔で迎えてくれるに違いない。 虎実さんだって、わたしのように避けることなんてしないはずだ。きっといいライバルになれるはず。 想像の中にいるわたしの大切な人達は、みんな明るい未来に向かって歩いている。 ああ、そうだ。 わたしがいなければ、大切な人達はみんな幸せになれる。 わたしなんか、最初からいなければよかったんだ。 『わたしなんか』って言ったら、マスターに怒られるけれど。 でも、もうマスターが怒ったりすることもありません。 わたしはもう消えますから。 だからマスター。 どうかどうか、幸せに……。 視界がぼんやりと霞んでいるのは、涙のせいなのか、雨のせいなのか、それとも、もう焦点を合わせられなくなったのか。 膝の力が抜ける。 ああ。 全身を浮遊感に抱かれて。 わたしの意識は暗転した。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/4.html
ここは「マイティのひと」が作成した武装神姫ショートストーリー 『Mighty Magic』シリーズを掲載しております。 著/マイティのひと ※コラボレーション大歓迎也。 ※文字サイズを通常よりも一段階小さくしてご覧になると読みやすくなります。 ※本文は随時加筆修正されます。更新履歴をご参照ください。 ※現在諸事情により更新速度が激減しております。何卒ご了承ください。 - 昨日 - 今日 - 合計 神姫とそのオーナーたち 装備構成解説 設定解説 本文ページ(妄想設定準拠) マイティ編 Mighty Magic ・インターバトルO「アーキタイプ・エンジン」 ・強敵 ※『不良品』?とのコラボ作品 ・犬達の出会い ・バトリングクラブ ・インターバトル1「プレゼント」 ・変身! ※魔女っ子神姫☆ドキドキハウリンとのコラボ作品 ・主義 ※岡島士郎と愉快な神姫達より、鶴畑大紀ゲスト出演。 ・インターバトル2「誤情報」 ※パカパカ祭りより ・インターバトル3「エルゴより」 ※HOBBY LIFE,HOBBY SHOPとのコラボ作品 ・固執 ・戯れ(18禁作品) ・インターバトル4「親友」 ・インターバトル5「トレーニング・デイ」 ・信念 ・インターバトル6「変身! そのに」 神姫たちの舞う空 ・事前予告 某月某日2001時 ・開催前夜 二ヵ月後、某月某日2221時 ・参加手続および第一次作戦会議 *月*日1144時 ・エルゴ飛行隊(ERGO Spuadron)メンバー表 ・出撃~接敵 1223時~1236時 ・交戦~十五分経過 1236時~1245時 ・~三十分経過 1245時~1302時 ・戦況再変~戦術再考 1303時~1311時 ・コンタクトイエロー~第一ラウンド終了 1312時~1330時 クエンティン編 CROSS LO[A=R]D ※全編にわたって、岡島士郎と愉快な神姫達より鶴畑コンツェルンの面々が特別出演しております。 ・第一話「修正」 ・第二話「融合」 ・第三話「エイダ」 ・第四話「それぞれの正義」 ・第五話「相対」 ・第六話「恐怖の正体」 ・第七話「OFイクイップメント」 ・第八話「襲撃」 ・第九話「拉致」 ・第十話「知性」 ・第十一話「決意」 ・第十二話「回帰」 ・第十三話「脱出」 ・第十四話「アーマーン」 ・第十五話「上空戦」 ・第十六話「共鳴」 ・第十七話「憧憬」 ・第十八話「教育期間」 ・第十九話「逃亡」 ★The Latest Chapter★ シエン編 クレマチスの檻(タイトル決定) ※CROSS LO(A=R)Dが終了し次第連載開始。 Archives エロ妄想スレッドにて初期に書いた拙作二編。 For Adult only! ・ヴァッフェ装備のこと ・知識 参考文献 私が拙作を書く際おおいに助けていただいた書籍を紹介しています。 ※五十音順、敬称略 相田裕 『ガンスリンガー・ガール』電撃コミックス 押井守 『アヴァロン~灰色の貴婦人~』メディアファクトリー カズオ・イシグロ 『わたしを離さないで』早川書房 神林長平 『戦闘妖精・雪風《改》』 『グッドラック 戦闘妖精・雪風』 “火星三部作” 『あなたの魂に安らぎあれ』 『帝王の殻』 『膚の下』 いずれもハヤカワ文庫JA ※その他の作品も、機械知性を考えるのに役立ちます。 京極夏彦 “京極堂シリーズ” 『姑獲鳥の夏』講談社文庫 『魍魎の匣』講談社文庫 グレッグ・イーガン 『ひとりっ子』 士郎正宗 『攻殻機動隊 The ghost in the shell』 『攻殻機動隊1.5 Human-error processor』 『攻殻機動隊2 Manmachine interface』 いずれも講談社 藤田博史 『人形愛の精神分析』青土社 船木亨 『デジタルメディア時代の《方法序説》 機械と人間とのかかわりについて』ナカニシヤ出版 宮沢賢治 『新編宮沢賢治詩集』新潮文庫 ご感想などどうぞ。 サイドボードがタネとは、目からウロコでした。カードゲーム的発想ですね~ -- ねここのひと (2006-10-26 07 43 55) けっこう面白い話があるので、いつも楽しみにしています。 -- 名無しさん (2007-01-03 12 57 09) 面白い話とシリアスな話がそれぞれ展開していくのがいいですね。 -- 名無しさん (2007-01-04 16 06 00) 神姫たちの舞う空編、続きがむちゃくちゃ楽しみです! -- 神姫の父 (2007-01-13 21 10 23) 燃えますな大規模空戦!続きを楽しみにしております。 -- Gの人 (2007-01-16 00 24 46) いよいよ戦闘開始ですね! 次回も楽しみにしております! -- ドキ(ryの人 (2007-01-16 01 02 43) CROSS LO[A=R]Dがマジ熱い!! -- 名無しさん (2007-01-30 07 15 42) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/77.html
武装神姫達のソード・ワールド2.0【第1-5話】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18372350
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/78.html
武装神姫達のソード・ワールド2.0【第1-6話】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18533993
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/76.html
武装神姫達のソード・ワールド2.0【第1-4話】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18320704
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2072.html
用語解説 『称号』 双姫主(そうきしゅ): 文字通り、二体同時に神姫を操る事ができる者に付けられる称号。デュアルオーダーというその技術としての呼び方もある。 刻一刻と変化する戦況を見極めて指令を飛ばす事のできる並外れた判断力と全体を見渡せる指揮力を求められる高度な技術であり、それをできる人間は少ないとされている。 また、試合と情報が複雑化する故にバトルロンドでは推奨されないやり方でもある。(禁止にされているわけではない) なお、この称号は『俺』固有の称号ではなく、二体同時に神姫を操る者全てが該当する。 首輪狩り(くびわがり): 輝との約束からリミッター解除装置を狩り続けたために付いた尊のあだ名。首輪の形をしたリミッター解除装置を回収する事から名付けられた。誰が言い出したのかは不明である。 『神姫用語』 イーダプロトタイプ: HMT型イーダのパーツ試験用にイーストラボラトリーが作り出した試作モデル。 『俺』がネットで調べた結果、イリーガル技術は使われてはおらず、素体やパーツを突き詰めて調整されたワンオフ機であると推測している。 性格の方はお嬢様言葉を使わず、ハウリンやエウクランテに近いものとなっており、この事から人格ロジックはまだ未完成だったと思われる。 戦いの末、『俺』の神姫となった際、イーダプロトタイプは先行入手版の通常のイーダとして表向きの神姫登録がなされている。 アークプロトタイプ: HST型アークのパーツ試験用にウエストラボラトリーが作り出した試作モデル。 こちらはあまり制約を考えていないため、イリーガル技術がふんだんに盛り込まれており、単純な性能はイーダプロトタイプを上回る。 イーダプロトタイプの最後のチャンスの戦いで負けた後はウエストラボラトリーの方針の転換によって必要とされなくなり、現在は必要なデータを吸い出されて処分すらされる事もなく、放置されている。 リミッター解除装置: 一時的にCSCにかかっているリミッターを解放することで神姫のCSCの消耗と引き替えにイリーガルと同等かそれ以上の性能を得る事のできるチョーカー型のパーツ。 イベント限定パーツ『イリーガルマインド』に似せた違法パーツなのだが、神姫のリミッターを外すという特殊なものであるために神姫センターのセキュリティに引っかからず、神姫センターも手を焼いている。 しかもこれは使用した神姫のCSCの磨耗、つまりは負荷をかけてしまうために、使いすぎるとAIの不具合やCSCの故障及び破損が発生し、最悪の場合、使用した神姫のCSCが壊れ、死ぬ。 仮想物質: CSCのエネルギーによって生成されたエネルギーの塊。 これによってスキルを発動した時、存在しないはずの羽の弾丸の射撃や武器の分裂、武器の属性付与といった事を可能とする ハイブリッドタイプ: ボディを規格品で揃える事なく、構成された神姫の総称。 簡単な例としてはコアと素体が異なる物にして起動した神姫だが、その他にもCSCとコアを除くパーツは換装可能であるため、必要に応じて他の素体のパーツを付け替える事でそうなる事もできる。 戦闘に柔軟に対応する事ができるが、当然、改造前と改造後の身体の感覚は異なるため、それを扱うためにはある程度の時間が必要である。 また、石火の様にコアを換装する事は可能といえば可能だが、神姫の死の危険が伴う上に成功確率が低く、さらには思考パターンを変えてしまうが故に改造直後は拒否反応を起こす危険が付きまとう。 塵の刃(ダストアエッジ): 蒼貴が会得した専用スキル。通常使用では使い捨ての武器を作り出すだけだが、ミズキ装備に隠されたBM『神力開放』を使用する事でその本領を発揮する。 SPを固定化する事で無制限に使えるようになった仮想物質で周囲の塵を操り、様々な形の武器を作り出し、変幻自在な無限の剣を振るう。その切れ味は神力開放を使わずともイリーガルのボディを一撃で切り裂ける程、鋭い。 E+ 尊がアサルトカービン用に自作した特殊弾倉の一つ。正確にはEXPLOD+という。 Nitroジェリカンのアルコール分を使って火力を高めてあり、通常のEXPLOD弾倉より威力が高めになっている。 ただし、反動が高く、連射性が低下しているため、精度は期待できない。 弾倉コード: 弾倉の種類を速やか伝えるために尊の発したコード。炸裂(EXPLOD)弾ならE、ペイント(PAINT)弾ならPとイニシャルだけを言うため、装填の順番まで早く伝えられる。 アクセルロンド: 別ページにて説明 模倣技: 別ページにて説明 『その他』 バーグラー: 有名人狩り、辻斬り、闇討ち、武装神姫のパーツの略奪など神姫を用いた汚い行為に走る者を総称する『賊』を意味する言葉。 ネット界隈から発祥し、現実においてもそうした者達を呼ぶ隠語として広まっている。 大抵が集団で行動しており、一対多数、罠、騙し討ちなどあらゆる手段を用いて狙った獲物を確実に潰す。この時、神姫の命であるCSCの破壊を行う事も少なくない。 また、金目当てでネットや神姫センターの裏で仕事を請け負う者もおり、金次第で何でもやるという トップへ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2520.html
樫坂家の事情!(更新停止) どうも初めまして、クロムという者です。 こういうwiki形式の場所で投稿するのは初めてで慣れてないですが、ちまちま書いていこうと思います。 基本、山も無く谷も無くの内容ですが、よかったらどうぞです。 また、自分は武装神姫を知って日が浅いので、所々神姫や武装について自己解釈している部分もあるかもしれないです。 なので、何かあればコメントとかちょくちょく見てますのでそちらでどうぞ。 なお、本作品は設定の一部をwiki内に掲載されている別作者様方の以下の作品よりお借りしております。 「Mighty Magic」 「深み填りと這上姫」 あと、キャラや設定等々を借りたい御方がおりましたらどんどん使って頂いてかまいません。 ただ、キャラの死亡やこちらのシナリオに重大な影響を与えるようなのは勘弁していただきたいです。 それ以外であればコラボは大歓迎です! 重要 10/22 データが吹っ飛び、時間も空いてしまい、色々考えた末に読者の方々には申し訳ないのですが、再出発の意味も込めて、新たに一から、または再構成しながら書いていく事にしました。 したがって、こちらは更新停止となります。本当に、申し訳ございません… あらすじ…? とある県のとある市内には、とある高校生が気ままに暮らしていたとさ。 両親は仕事で全国各地に飛んでいて、しばらく一人暮らしをしていたけど高校2年のひと夏で取り巻く環境が激変してしまったんだって。 それが本人にとって幸福か不幸か分からないけど、それはそれは楽しそうになったってさ。 ………あ?結局のところどうなんだって? ……はぁ、わかったよまったく… 幸せだと思うよ、今の俺は………おい聞いといて笑うなお前ら! 注:半分以上日記形式です。 序幕~とある学生の夏休みにおける変化とその記録~ 「第1話」 「始まってもないのに終わりそうなのよね、これ…」 「第2話」 「せつめいぶそくもせっていなんだって言ってた」 「第3話」 「………ありえないと思ってる事程、起きるものだな」 「終幕話」 「そして新たな日々が始まる…か」 序幕を見てから見る事を勧める設定集 設定集 注:こっちは普通の文形式です。 始幕~過ぎたる夏、来る平凡で新鮮な日々~ 「第1話」 「思えばこれが幕開けだった…」 「第2話」 「日常的な学校生活………なのです?」 「第3話」 「動き出す、初めての戦い、ですわね」 今日 - 人 昨日 - 人 総計 - 人の来場者です コメントがありましたらこちらにどうぞ。 コメントテストです。 -- クロム (2011-09-03 23 31 41) こんばんは。ここでは初めまして。夜虹というものです。どうぞよろしくお願いいたします。 日記として重ねていく時間の経過の様子がわかりやすいですね。 六体の神姫のオーナーの日記を見て、どうやってその六体がやってきたのかという事が語られるのですな。 きっかけもあって、友達もいて、思い出も段々と語られていく様はとても面白い内容になっていると思います。 神姫達の感想もあって、細かな事も聞けるのもまたいい演出ですね。続きも楽しみしています -- 夜虹 (2011-09-05 05 35 20) クロムです。夜虹さんこちらこそです。 日記形式というのはありだろうかと少し不安でしたが、感想を頂けて安心しました。 また、設定の件もありがとうございます。 まだ始まったばかりですが、御期待に添えられるように頑張りたいと思います。 -- クロム (2011-09-05 23 29 35) 無料の小説投稿サイト等に登録して、そこに作品を保存しておくといいと思いますよ。そうしたら、HDDがクラッシュしたりデータ飛んだりしても作品は守れますしね。私はそうして保護してますよ。 -- 寒天 (2011-10-17 20 34 07) 寒天さん初めましてです。 ふうむ…なるほど、そういう手もありましたか。 ご助言ありがとうございます。 -- クロム (2011-10-19 20 20 26) If not for your wriintg this topic could be very convoluted and oblique. -- Meva (2013-05-21 13 26 06) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/123.html
登場人物(NPC神姫)OPムービーのアーンヴァルMk.2 てん 謎のエーデルワイス型 大型バグ・オメガ 闇神姫 種村ジュビ子 黒種ジュビ美 ミラージュ・シリーズ ハナ イバラ ユメ ドロシー ストラ 悪神姫 鎧原フォスター 剣崎フェスター 甲季 刀華 ノララーフ ジル ラズちゃむ エウエウ 藤田フブルン コメント 登場人物(NPC神姫) 本作に登場しているNPC神姫です。 多くの場合は、レイドボスバトルで登場する人物となります。 OPムービーのアーンヴァルMk.2 稼動当初から登場している、見ての通りの天使型アーンヴァルMk.2。個体名は不明だが、少なくともてんとは別個体。 とあるギタリストの動きを完全再現出来る程にギター演奏が得意。 ベイビーラズ「あたしも実装された事だし、そろそろ混ぜて欲しいじゃん…」 てん 天使型アーンヴァルMk.2。神姫ショップ神姫(SSS)の称号と、同型機よりも多いアホ毛を持つ。 公式コミックではほぼレギュラーだが、ゲーム本編には姿を見せていない…訳ではない。 実は、本作稼動当初はバトル終了後の神姫お迎え画面で登場している。「入荷した神姫にすぐちゅーする」悪癖のせいでかずっと研修中の身だったが、シーズン2では神姫ショップのアイテム購入画面へと「異動」させられたのと引き換えに(?)晴れて正社員へと昇格した。 どちらにせよ、単にモデリングの都合上アホ毛が見られないので分かりにくいというだけなのである。 謎のエーデルワイス型 「それはバグの仕業よ!」 猟兵型エーデルワイス。レイドボスバトル(第一回)~(第二回)、復刻(第六回/前半)、(第十一回)に登場。 どうやら「武装神姫R」がリリースされた世界線の存在であるらしく、かの世界から出現したバグを追ってこの世界に来訪し、プレイヤー側の神姫達と共闘する。 なお、現存するエーデルワイス型との関係は一切不明。 大型バグ・オメガ レイドボスバトル(バグ編:第一回~第二回)に登場したレイドボス。 メタルギア・シリーズの核搭載二足歩行戦車「メタルギアREX」またはグラディウス・シリーズの歩行型対空ロボ「ダッカー」のような姿をしている。 巨大な体躯で明らかに神姫ではないためか、部位破壊要素(弱点要素つき)が存在する。 なお復刻レイド(第六回および第十回、第十一回)にも登場しているが、これが残存していた個体なのかバグの性能を再現したエラーなのかは判然としていない。 (様々な状況証拠から後者である蓋然性は高いが、絶対とは言い切れない) 闇神姫 レイドボスバトル(第二回)に登場したレイドボス。 謎のエーデルワイス型曰く「いまだ目的も正体も不明な、マスターを持たない神姫」。バグを増殖させて「武装神姫R」の世界に悪影響を及ぼす存在との事。 悪影響を及ぼしたのはあちらの世界だけではなかったようで、後に第八回においてレイドボスの剣崎が「闇堕ち」した原因のひとつとも考えられている。 ちなみに、その後の復刻(第六回)には出現していない(大型バグ・オメガは登場し、これを倒すと闇神姫の装備をドロップした)が、復刻(第十回)において「小型/中型バグと同型のエラー達」を引き連れて久々の再登場を果たし、復刻(第十一回)にも引き続き登場する。 種村ジュビ子 種型ジュビジー。レイドボスバトル(第三回)に登場した、神姫NET管理局環境農業課所属の「お役所神姫」。 飛び道具が対エラー特効を持っている事が多く、また防御力にも優れるため雑魚戦では活躍してくれるが、その分対ボス戦では決め手に欠ける。 その後もスポット参戦ながら、第七回・第八回ついでに復刻(第六回/後半)&復刻(第十回)と度々エラー退治に駆り出されまくっているが、そもそもお仕事が大好きなので全然平気らしい。 黒種ジュビ美 種型ジュビジー(リペイント)。レイドボスバトル(第三回)および復刻(第六回)に登場したレイドボスで、種村ジュビ子の同僚。 元々周辺が見えなくなりやすい性格だった事もあり、ワーカホリックを拗らせた結果エラーに付け込まれ暴走してしまった(公式コミックでの示唆によれば、どうやら昇進したかったらしい)。 経緯が経緯だけに悪神姫に分類されたりする事はなく、事件後無事に夏休みを取れた様子。 ミラージュ・シリーズ レイドボスバトル(エラー編)に登場するレイドボス。エラー達を束ねる存在。 Naked素体をベースに数多の神姫用武装を寄せ集め、さながら阿修羅像のような外見に構築した武装を携える。 複数種の個体が存在し、それぞれカラーリングや手持ち武装等、果てはアクティブスキルに至るまで微妙な差異を持つ。 ホワイトミラージュ(第三回/第六回前半) ブラックミラージュ(第三回レア枠/第四回/第六回前半) ナイトミラージュ(第四回レア枠/第五回) サマーミラージュ(第五回レア枠/第六回後半/第七回レア枠) オータムミラージュ(第七回/第八回レア枠) バニーミラージュ(第八回/第九回レア枠) フレッシュミラージュ(第九回) なおサマーミラージュ以後、スタンする毎に武装を少しずつ除装していくようになったが、総合戦闘力の変化は一切ない。 ハナ 花型ジルダリア。レイドボスバトル(第四回)に登場した、花屋のアルバイト神姫。 本当は自分もサボりたかったらしいが、迫り来るエラーを前にプレイヤー側の神姫達と共闘する。 ちなみに公式コミックでは同型の「ジル」が存在するが、ゲーム中には出てこない。 イバラ 花型ジルダリア(リペイント)。レイドボスバトル(第四回)および復刻(第六回)に登場したレイドボスで、ハナのバイト仲間。 「仕事を全力でサボりたい」というだけの理由で、エラーと結託していた困った神姫。 その後こってり絞られ、かつハナやプレイヤーの神姫達とゲーセンでたっぷり遊んだ事で、エラーとは手を切れたようだ。 ユメ 悪魔夢魔型ヴァローナ。レイドボスバトル(第五回)に登場した、ご近所神友マスターの神姫。 アラーム機能の不調を解決すべく、迫り来るエラーを前にプレイヤー側の神姫達と共闘する。 ドロシー 悪魔夢魔型ヴァローナ(リペイント)。レイドボスバトル(第五回)および復刻(第六回)に登場したレイドボス。 お寝坊なマスターのためご近所神姫達のアラーム機能に干渉し、エラーと結託していた困った神姫。 その後神姫管理委員会に厳重注意を受け、マスター共々早起きすると共にエラーとも手を切った模様。 ストラ 天使コマンド型ウェルクストラ(リペイント)。なにげに共闘するNPC神姫達の中では初のリペイント神姫である。 レイドボスバトル(第七回)に登場し、オフラインレイドストーリーの4戦目では行き掛かり上レイドボスも務めた。 (当初は記憶を失った状態でプレイヤーたちに保護されたのだが、当該バトルでは悪神姫にコントロールされてエラーと共に暴れ回ってしまったため) ちなみに本来のマスターはコーヒーを好むキャンパーであるらしく、コーヒーを淹れるのが得意だという事を思い出したのをキッカケとして無事記憶が戻った。 悪神姫 天使コマンド型ウェルクストラ(リペイント)。レイドボスバトル(第七回)に登場したレイドボス。 ストラと同型機なので分かりにくいが、当該オフラインレイドストーリーの9~10戦目及びオンラインでのボスはこちらの方である。 悪いマスターの下でエラーを利用してはぐれ神姫を操り不法に働かせていた他、神姫誘拐にも手を染めていた。 ただし、その「悪事」の詳細および倒された後の処遇、そして個体名は一切不明。 鎧原フォスター 騎士型サイフォス。レイドボスバトル(第八回)および第九回に登場した、神姫NET管理局ネットワーク課のネットワーク担当神姫。 日頃からハードワークが多い職務に身を置いているためか、非常に強く頼れる存在だが、対ボス戦では手数不足に陥りやすい。 ちなみに本名は2023/04/01の公式キャンペーン「エルプリルフール特別号」で、剣崎のそれ共々判明した。 剣崎フェスター 騎士型サイフォス(リペイント)。レイドボスバトル(第八回)に登場した、鎧原の姉にしてレイドボス。 嘗ては神姫NET管理局品質管理課に所属し、ネットワーク品質を管理。その過程で種村ジュビ子の仕事を手伝ったり、闇神姫事件においても最前線で戦ったり…と真面目に働いていたのだが、いつしか悪堕ち。事件解決後は神姫NET管理局に連行されていった。 バリバリの武闘派な一方でうさぎ好きという一面もあり、その立場を利用して入手したミラージュ・シリーズのデータからバニーミラージュを造り上げた可能性が指摘されている。 ちなみに第九回でも懲りずに脱走、「漆黒の戦姫」副長として悪事の片棒を担いでいる。 ちなみに「剣崎」といえば特撮作品「仮面ライダー剣」の主人公の苗字だが、ルラギラレる方だったあちらとは逆に此方はルラギる方である。 甲季 侍型紅緒。レイドボスバトル(第九回)に登場。神姫NET管理局のエラー討伐アルバイト神姫。 ジェムバトルランキングの上位チーム「漆黒の戦姫」に入る事を志しており、そのための鍛錬目的でエラーを討伐している。 プレイヤー神姫の助けを得つつ、入団試験を受ける事になるのだが…… その「漆黒の戦姫」こそは、一連の事件を引き起こす「悪神姫」達の巣窟であった、というオチがついてしまった。 刀華 武士型紅緒(リペイント)。レイドボスバトル(第九回)に登場した、ジェムバトルランキング上位チーム「漆黒の戦姫」リーダーにしてレイドボス。 実は剣崎と結託し、はぐれ神姫を積極的にメンバーに加えて勢力拡大を図っていた。これは悪神姫を増やす結果になるらしいのだが、当の彼女達自身は純粋かつ真面目に「はぐれ神姫の保護」を謳っているので、なお始末が悪い。 事件終結後は、剣崎共々「悪神姫」として神姫NET管理局に連行されていった。 ノララーフ 悪魔型ストラーフMk.2。公式コミックでは常連だがゲームには出てこない。 てんの店に良く遊びに来る、ポーカーフェイスでハードボイルドなノラ神姫。 大体のトラブルを解決してくれるらしい。 ジル 花型ジルダリア。公式コミックにのみ登場(ゲーム中には別個体ことハナが登場している)。 ブタグッズ、特に「神姫をダメにするブタクッション」を愛用しているらしい。 ちなみにこの名前、巷ではジールベルンにも付けられている事が多い。 ラズちゃむ エレキギター型ベイビーラズ。公式コミックにのみ登場。てんの被害者 とはいえ、ほとんどが起動前で寝ている状態での出番だった…。 エウエウ セイレーン型エウクランテ。公式コミックにのみ登場。 いつも元気一杯だが、何らかの(おそらくはノララーフ絡み?)復讐心に燃えているらしい。 ちなみにシーズン1の頃、ジェムバトルにおいて「なぜか緑CPUの復讐心が高い」と言う現象が稼動当初から確認されており、修正を重ねてもなかなか収まらなかった…という経緯があったり。 藤田フブルン 忍者型フブキ。初出は2022年4月1日の「エルプリルフール」告知で、ポニーテールに白ビキニにて魅惑の姿を披露した。 その後毎年04/01の同告知で、サブモニターにメッセージを出していた様子(開催されなかった2024年も含む)。 果たして、ゲーム本編に現れる事はあるのだろうか……? コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1180.html
「接近して相手をすぐ倒すクリナーレで」 「さっすがアニキ!話がわかるぜ!!」 頭の上で騒ぎ喜ぶクリナーレ。 まぁ喜んでくれるのは嬉しい。 だけど他の三人は少し残念そうな感じだ。 『後で他の奴等と戦うから、その時にな』と言うとパア~と明るい表情になる神姫達。 さて、そろそろ対戦するか。 装備…よし! 指示…よし! ステータス…よし! クリナーレを筐体の中に入れ、残りの神姫達は俺の両肩で座ってクリナーレの観戦をする。 「クリナーレ、負けんなよ!」 「おう!任しときな、アニキ!!」 「頑張ってクリナーレ!!」 「クリナーレさん~頑張って~!」 「姉さんー!無茶はしないでくださいねー!!」 「闘いに無茶はつきものだぜ!」 クリナーレは余裕綽々な笑顔を俺に見せ筐体の中へと入って行く。 気がつくと俺は両手で握り拳をつくっていた。 いつになく俺の心は興奮していたのだ。 何故だろう? 多分、誰かを応援している事によって熱くなっているのかもしれない。 それとクリナーレに勝ってほしい、という気持ちがある…かもなぁ。 俺は筐体の方に目を移すと中には空中を飛んでいる二人の同じ武装神姫達が居た。 READY? 女性の電気信号が鳴り響き、一気に筐体内の中に緊張が走る。 勿論、外に居る俺達もだ。 FIGHT! 闘いの幕があがった。 お互いの距離150メートルからスタートして、まずは二人とも距離を縮め接近する。 クリナーレはDTリアユニットplusGA4アームに付いてるチーグルを相手のストラーフに向ける。 すると敵のストラーフもクリナーレと同様にDTリアユニットplusGA4アームに付いてるチーグルをクリナーレに向けた。 そのままお互いの距離が縮まっていく。 70…60…50…40…30…20…10…0! ガキャン! 鈍い機械音が辺りに響く。 DTリアユニットplusGA4アームのチーグル同士がぶつかった音だ。 「この!」 「うりゃっ!」 クリナーレが先に叫び上げ遅れて敵のストラーフも叫ぶ。 お互い両手を突き出しさらに互いの両手同士で掴みあう。 チーグルもその状態だ。 二人とも引かない力押しの戦法。 チーグルと自分達の両手で押し合い睨みつけあう状態が数秒たった。 「…そりゃ!」 敵のストラーフは何を思ったのか、自分を軸にしてクリナーレをブンブンと回す。 遠心力によりドンドン、と回転するスピードが速くなる。 「セイッ!」 ストラーフの掛け声と同時にクリナーレを離した、地上に向けて。 クリナーレは物凄いスピードで斜めの角度で地上に落ちていく。 いや、地上に落ちる前に廃棄されたビルにぶつかってしまう。 このままじゃマズイ! 「クリナーレー!」 俺は叫んだ、だがクリナーレからの返答はないまま、そのままビルに突っ込んだ。 ドガシャーン! ビルの壁をブチ破りそこらじゅうに雷みたいな亀裂が走る。 もう一回軽い衝撃でも当てればビルは倒壊するような亀裂だ。 って、ビルの様子よりもクリナーレの状態が気になる。 すぐさまビルに穴があいた部分に集中し目を凝らして覗く。 視力は良い方なので多少離れていても見える…はずだ。 …いた! グッタリと上半身を壁に寄りかかり座っている。 「大丈夫か!?クリナーレ!」 「イテテ~、大丈夫だよアニキ」 ヨロヨロと覚束ない足で立ち上がるクリナーレ。 これはちょっとヤバイかもなぁ。 筺体に付いてるコンソールを見るとクリナーレのLPは半分以上無くなっていた。 ちょっとどころではなく、かなりヤバイ。 あの野郎…無理なんかしやがって。 そんなヤバイ状態のクリナーレに追い撃ちがきた。 敵のストラーフがクリナーレがぶつかって出来た穴からモデルPHCハンドガン・ヴズルイフを撃ってきたのだ。 撃った数は二発。 何とかしてクリナーレはその二発を避けたものの、ただでさえフラフラの状態なので転がるように倒れ込む。 だが、幸いな事に転んだ場所が瓦礫の壁だったので敵のストラーフが追撃出来なくなったこと。 「クリナーレ、大丈夫なら返事をしろ!」 「ごめん、アニキ。やっぱり、ボク…負けちゃうかも」 弱々しい声で言うクリナーレ。 こんなにも弱々しいクリナーレを見たのは久しぶりだ。 前は違法改造武器を使った時に泣いたんだったけ。 今のクリナーレはあの時と同じだ。 このまま戦闘を続ければ精神的に弱気になってしまう。 どうする…どうすればいい! 俺に出来る事は何かないのか!? 「しっかりしてください、姉さん!弱音を吐く姉さんなんか、姉さんじゃありません!!」 「!?」 いきなりの大きな声が聞こえたので俺は驚愕する。 声の主は左肩に座っているクリナーレの妹、パルカだった。 怒った表情にも見えるけど悲しい表情にも見える、なんとも言えない表情だ。 自分の姉をまるで叱っているようにも元気づけてるようにも見える。 俺もパルカの事を見習わないといけないなぁ。 「クリナーレ!お前は力はそんなものか!?違うだろ。お前はそんなヤワな奴じゃないだろうが!!頑張れ!!!」 瓦礫に隠れていてクリナーレの姿は見えないが、俺とパルカは諦めない。 「そうよ、クリナーレ。貴女なら勝てるわ!」 「クリナーレお姉様はいつも元気な人ですわ。頑張ってください!」 アンジェラス、ルーナが後から応援する。 考える事は皆同じということか。 よし、このまま応援し続けるぞ。 「負けんな!クリナーレ!!」 大声で応援し続けていると他のオーナー達が『なんだ?』とこっちに来くる。 けど今の俺には野次馬なんてどうでもいい。 今はクリナーレの応援に専念するべき。 そう思った時だった。 「分かってるよ!ボクが負ける訳ないだろう!!」 クリナーレの大声が聞こえた。 ドカーン! それと同時にビルの反対側の壁が爆発した。 その爆発から勢いよく飛び出すクリナーレ。 表情は元気いっぱいのいつものクリナーレだった。 「クリナーレ!」 「アニキ、パルカ、アンジェラス、ルーナ。応援ありがとう。ボク、頑張るからしっかり見ててね!」 左手を元気よく振るクリナーレ。 フッ…心配掛けやがって。 まぁこれでいつものクリナーレに戻ったから大丈夫だろ。 「さっきはよくもヤッてくれたな!倍にして返すんだからー!!」 クリナーレが敵のストラーフに物凄いスピードで突っ込む。 あれ? この光景はデジャブーだぞ。 あっ! 戦闘が始まって最初に敵と接触した時の場面だ! ガキャン! 再び鈍い機械音が辺りに響く。 DTリアユニットplusGA4アームのチーグル同士がぶつかった音。 「また振り飛ばされたいのかな?」 「フン!残念でした~、次に振り飛ばされるのはお前だよ!」 お互い両手を突き出しさらに互いの両手同士で掴みあい、二人とも引かない力押しの戦法になる。 最初の時とまるっきり同じ。 チーグルと自分達の両手で押し合い睨みつけあう状態が数秒たった。 「それ!」 「!今だ!!」 敵のストラーフがまた振り回そうとした瞬間の隙をクリナーレは見逃さなかった。 ゴツン! なんとお互い掴んだままの状態で敵のストラーフの頭にクリナーレが無理矢理の頭突きをかましたのだ。 あまりの痛さにストラーフは自分の頭を両手で押さえてフラフラとバランス悪く飛ぶ。 その間にクリナーレはアングルブレードを右手と左手に一ずつ持ち二刀流になる。 「クラエーーーー!!!!」 ズバズバズバズバ!!!! 「オマケだーーーー!!!!」 グシャ! アングルブレードで4回斬った後に回し蹴りをして吹っ飛ぶストラーフ。 そのまま吹っ飛んだ敵のストラーフは反対側にあるビルの壁にぶつかり、LPが無くなり力尽き地上に転落していき、ゲーム終了した。 俺の方の筐体に付いてるスピーカーから『WIN』と女性の電気信号の声が鳴り響く。 多分、相手の方では『LOSE』と言われてるだろう。 そりゃそうだ。 勝ちがあれば負けもある。 二つに一つ。 「勝ったよ!アニキ!!」 筐体の中で俺の事を見ながら喜ぶクリナーレ。 俺も自分の神姫が勝った事が嬉しくて微笑む。 両肩にいるアンジェラス達も喜びハシャイでいる。 そうか…。 これが武装神姫の楽しみ方か。 確かにこれは楽しい。 おっと、クリナーレを筐体から出さないといけないなぁ。 筐体の出入り口に右手を近づけると勢いよくクリナーレが飛び出して来て俺の右手に抱きつく。 そのまま俺は右手を自分の目線と同じぐらい高さまで持っていきクリナーレを見る。 「頑張ったな、クリナーレ」 「エッヘン!アニキやみんなの為に頑張ったんだから!!」 「言ってくれるじゃねぇかー、こいつ」 「…アウッ」 俺は右手の手の平に居るクリナーレを更に左手の手の平と添えるようにくっ付けて、お茶碗のような形を両手で形どる。 両手でよく水を掬う時にやるあの形状だ。 その形を保ちつつ親指の腹の部分でクリナーレの頭を撫でる。 この撫で方はクリナーレのお気に入りだそうだ。 何でも、俺に抱かれているようで気持ちいいらしい。 まぁ…クリナーレがそれがいいと言うなら俺はなにも文句は言わん。 「いいなぁ…。ご主人様、ご主人様、次の試合は私を指名してください。絶対勝ちますから!」 「ダーリンのご褒美を貰うために頑張らないといけませんわね」 「あの…私のバトルは最後でもいいので…もし勝ったら、お兄ちゃんのご褒美くれますか?」 両肩で何やらクリナーレに嫉妬しているように見える三人の神姫達。 そんなにご褒美が欲しいのか? まぁ今日はトーブン、ここにいるつもりだから一応全員バトルさせてやるか。 俺はクリナーレの頭を撫でるの止めて離すと。 「え!?もう終わりかよ~。もっと撫でてー!」 離した親指を無理やり掴み自分の頭に擦り付けるクリナーレ。 はぁ~…我侭な奴だ。 まぁそこが可愛いだけどな。 だがもし、ここでまた再びクリナーレの頭を撫でると両肩に乗っている三人に何されるか解らないので撫で撫ではお預け。 クリナーレを両手から左肩に移動させ、俺は次の筐体に向かった。 闘いはまだ始まったばかりだ。 「さぁ行くぞ!俺達のバトルロンドの幕開けだー!!」 こうして俺達のバトルロンドがスタートした。 そしてこの日からクリナーレの二つ名が出来た。 名は『重力を操る者』…。